細菌で犯人を追い詰める⁉

最近の研究では、皮膚細菌叢の多様性がとても高く、細菌叢の組成において個人差がある事が数多く報告されています。中でも物体上に残った皮膚細菌叢で個人を法医学的に指紋の様に識別できる可能性をアメリカの研究グループが報告しました。

人間の皮膚表面には、触れると容易に物体表面上に移動する多くの細菌があると言われています。つまり私たちは日常生活で触れる面や物体に、皮膚に付着した細菌で持続的に「痕跡」を残す可能性があり、細菌を法医学的識別のための「指紋」として使用できる可能性を報告されています。

研究グループは皮膚細菌叢を使用して接触面を特定の個人に結び付けることが可能であることを実証するために、3名のコンピュータキーボードの個々のキーにある細菌叢と、キーボードの所有者の指にある細菌叢とを比較し調べました。

その結果、各キーボードは異なる細菌叢を持っていて、指に関連する皮膚細菌叢が3名の個人それぞれに特有であることが分かりました。これらの結果から、細菌のDNAを比較的小さな表面から回収できること、キーボードに関連する皮膚細菌叢の構成が3つのキーボード間で異なること、そして個人が独自の細菌の「指紋」をキーボードに残すことが実証されました。
また、キーボード上の皮膚細菌叢を室内条件下で保存した場合、2週間後でさえ細菌叢の組成等に大きな変化は無かったと報告しています。

この報告では、同一のDNAをもつ双子でさえも、実質的に異なる細菌叢を抱えており、私たちの細菌叢は、私たち自身のDNAよりも個人的に識別しやすい可能性があります。犯行現場に残された目に見えない細菌が犯人特定に繋がる日も遠くないかもしれません。


ライター:Boro
徳島出身、令和元年に出産、ワンオペ育児の為、時短料理や家電を駆使し仕事と育児の両立を目指してる新米ママ&研究者。
学生時代に悩まされた肌荒れ、もっと早くにスキンフローラを知っていれば、違うアプローチからお肌をケアしより良い学生生活を送れたかもしれません。
皆様に研究者目線で選りすぐった最新情報を提供します!

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