海水浴でスキンフローラが変わる?

海水浴が皮膚感染の原因となり得ることが、アメリカの大学での研究で示された。この原因として、海水浴後はスキンフローラが海水で洗い流され、海水などの水中に多く存在する常在細菌ビブリオ属が見つかった。この属には潜在的な皮膚感染症に関する病原体が含まれるという。

海水浴客の16.3%が後に健康問題を報告

海水などの水質は胃腸や呼吸器の病気、耳の感染、皮膚発疹などの健康への悪影響を生じさせる可能性があり、実際、海水浴客の16.3%が、健康問題を報告しているとする研究もある。
そこで、研究者らは人間のスキンフローラの変化と感染リスク増加との間の関連性を調査することによって、劣悪な水質による健康被害をなくす新しい戦略を提唱している。

海水浴の皮膚への影響

海水浴後にスキンフローラが変化するかどうかを調べるために、まず、海水浴前、海水浴後、海水浴後6時間、海水浴後24時間に収集されたスキンフローラのサンプルを調べた。

●海水浴により、免疫システムを調節し病原体から皮膚を保護することが知られているスキンフローラが洗い流されていた。したがって、海水浴後は皮膚を保護する機能が弱くなる。

●海水浴により、感染を引き起こす可能性のある病原体を含む細菌ビブリオ属が皮膚に沈着した。皮膚で検出されたビブリオ属の割合は、海水サンプルのビブリオ属(0.032%のみ)の10倍以上であり、人間の皮膚へ付着しやすく増殖しやすいことを示唆していると予想される。

●通常のスキンフローラは曝露後時間が経過するにつれて元の状態に戻るが、海水浴後は少なくとも24時間は外因性細菌が皮膚に存在していた。これにより、病原菌が感染を引き起こす可能性がある。

海水浴後のケア

病原体が皮膚に残ると、皮膚から口への移動または別の人への移動の可能性がある。さらに、海水浴後数時間または数日後に胃腸の病気を引き起こす可能性があり、子供や免疫不全の人にとって特に危険である、と警告している。
海水浴による皮膚関連の健康リスクを低減するため海水浴直後はシャワーを徹底する必要がある。スキンフローラの変化と皮膚疾患とは関連はあるが、海水浴によるスキンフローラへの影響はまだ研究されていない。今回の研究が海水浴とスキンフローラとの関係を解き明かす第一歩である。


ライター:Boro
徳島出身、令和元年に出産、ワンオペ育児の為、時短料理や家電を駆使し仕事と育児の両立を目指してる新米ママ&研究者。
学生時代に悩まされた肌荒れ、もっと早くにスキンフローラを知っていれば、違うアプローチからお肌をケアしより良い学生生活を送れたかもしれません。
皆様に研究者目線で選りすぐった最新情報を提供します!

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