細菌は肌にとって重要?
日本人女性を対象としたスキンフローラ(=皮膚細菌叢)大規模解析によりわかったこと

いま、スキンフローラの研究があつい

私たちは、日常生活で細菌とともに暮らしている。いわゆるwithコロナならぬ、with細菌だ。細菌と聞くと、夏頃の食中毒や感染症などの言葉を耳にすることから、悪いものというイメージが強い。しかし、私たちの生活や身体にとって良い働きをする細菌も多く存在することをご存知だろうか?

スキンフローラの働きとは?

細菌は腸内、口の中や皮膚など体の至るところに住み着いている。特に、皮膚にいる細菌は「スキンフローラ」(皮膚細菌叢)と呼ばれている。細菌は目には見えない。しかし、ヒトの身体にいる細菌の数は膨大で、皮膚には1兆個以上が生息している。

スキンフローラには大きく4つの働きがある。

1)病原菌から私たちの身体を守ってくれていること
2)保水成分を産生して、肌の乾燥を防ぐこと
3)皮膚上にできた活性酸素や過酸化脂質を分解すること
4)抵抗力アップの役割

皮膚の環境を整える上で、スキンフローラはなくてはならない存在であることがわかる。

スキンフローラの状態が悪いと、
1)肌の健康を損ねる
2)感染症や炎症などが起こりやすくなる
3)肌の老化を促進する

などの肌トラブルが起こる可能性がでてくる。

わかってきたこと

研究では健康な日本人女性(10-60代)1,074名の頬からスキンフローラを採取し、その解析を行った。結果として、スキンフローラでは3つの門(Actinobacteria, Proteobacteria, Firmicutes)が主要な構成種となっていることがわかった。また、Actinobacteria門に属するアクネ菌が肌フローラの中で最も多く見られる細菌種であった。アクネ菌はニキビができる悪玉菌と思われがちだが、肌の保湿やバリア機能に重要な役割を果たしている。(善玉菌としての役割もある。)
さらに、約1,000人のデータから若い人ほどスキンフローラに占めるアクネ菌の割合が高いことがわかった。しかし、中にはアクネ菌が少なく多様性も低いスキンフローラの人たちもいる。このような人たちを見てみると、「シミやくすみ」といった肌のトラブル抱えている人が多いことが見出された。

スキンフローラの可能性

フローラ/細菌叢が研究されるようになったのはここ数10年余りのことである。研究が進むことで、脂質や皮膚の状態、肌の老化や美肌との関係性などが詳しく理解される日も近いだろう。また、女性の肌の老化を防ぎ、シミやシワのない肌を長く維持する新しいスキンケアも生み出されるかもしれない。スキンフローラはそれほどの可能性を秘めている。


ライター:TTくん
京都の最南端出身、ラーメンインスタグラマー(好きなラーメン豚骨醤油)
一方で、肌のお手入れは毎日洗顔し、化粧水・乳液を塗って肌の潤いを保っています。良いスキンフローラを作ることであなたの肌環境を整え、美しい肌を保つことができます。美肌学生ライターとして、皆様に質の高い情報をお伝えしていきます。

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