スカルプフローラ(頭皮細菌叢)の可能性

現在、世界、特に日本では、超高齢社会になっており、頭髪に関して悩みを抱えている人が多い。頭皮のかゆみや炎症、特に白髪については40代以上の女性にとって一番の悩みの種の一つである。
これらの悩みに関する製品の市場のニーズが非常に多様化しており、規模も大きい。
そんな中、今注目されているのが「スカルプフローラ」という頭皮の表面に存在する細菌叢である。

スキンフローラとスカルプフローラ

フローラの話の前に、頭皮と顔の皮膚では何が違うのか。共通する部分もあるが異なる部分も多い。例えば、頭皮の毛穴の数は顔の皮膚の数倍ある。また、頭皮は皮脂腺が多く存在し、その数は顔のTゾーンの約2倍、だいたい140~190個と言われている。さらに、頭部には汗腺が360個あり、これは最も汗腺が多い手のひら、足の裏に次ぐ数である。
では「スカルプフローラ」と「スキンフローラ」は一体何が違うのか?
「スカルプフローラ」は3種の細菌叢が大きな割合を占めており、その3種のバランスが人によって異なる。一方、「スキンフローラ」は、多様性が大きく、人によって割合が異なる。頭皮は髪の毛に覆われており、紫外線や外部との関わりが限られている。しかし、顔は紫外線や外部との関わりが多いことから、フローラのバランスが左右されやすい。よって、頭皮では、その人がもつ特徴を反映しやすい。

頭皮の赤みが引き起こされる原因の解明?

279名のモニター試験において、頭皮の赤み値が高い上位30人、赤み値が低い下位30人を選んで、スカルプフローラを調べた。結果として、頭皮の赤み値が高い群は赤み値が低い群に比べて、有意差を持ってCorynebacterium属が異常に増加していることがわかった。つまり、頭皮の赤みとCorynebacterium属との増加に相関があり、Corynebacterium属が異常に増加することが、白髪・抜け毛・細毛と関係する可能性が示唆された。
また、この赤み値が高い群では、頭皮脂質量も多くなっており、これがCorynebacterium属の異常増殖と、頭皮の慢性的な炎症発生に関わる可能性も示唆された。

赤みの低下と育毛・白髪抑制は可能か?

一般的にCorynebacterium属は日和見菌(善玉にも悪玉にもなる菌)として考えられる。Corynebacterium属を完璧になくすことは、スカルプフローラのバランスを悪くし、悪影響を及ぼす可能性がある。そのために、「Corynebacterium属の相対量を抑制する成分は何か」を探した。結果として、数種のシソ科植物エキスが有効であることがわかった。
さらに、この有効成分をいれた育毛剤を作り、その効果とスカルプフローラのバランスの変化を確認するために、健康成人女性16名に6ヶ月連続モニターを行った。結果として、1ヶ月連続使用でCorynebacterium属の抑制によるスカルプフローラの正常化や、頭皮の赤みの低下が発見された。これにより、スカルプフローラの正常化に働きかけることで、白髪や抜け毛の抑制にもつながることが示唆された。

スカルプフローラの未来

スカルプフローラが関わること、まだ判明していないことを解明することで、多様化した消費者のニーズを汲み取り、ここ最近新しい試みがたくさんでてきた。頭皮の悩み、抜け毛、白髪など、様々な課題や悩みがまだまだ私達の世界に転がっている。今後、さらなる研究が進み、それらの悩みが解決される日も近いだろう。


ライター:TTくん
京都の最南端出身、ラーメンインスタグラマー(好きなラーメン豚骨醤油)
一方で、肌のお手入れは毎日洗顔し、化粧水・乳液を塗って肌の潤いを保っています。良いスキンフローラを作ることであなたの肌環境を整え、美しい肌を保つことができます。美肌学生ライターとして、皆様に質の高い情報をお伝えしていきます。

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