お肌の老化の原因とは?

お肌の老化と、皮膚に住む細菌の関係性

年齢を重ねれば当然、お肌も老化していく。けれど、本当にそうなの?
今回は、お肌の老化の原因として、21歳~37歳と、60歳~76歳、二つの年齢層の日本人女性の、皮膚に住む細菌と、その変化について調べた研究をご紹介します。

肌の老化を引き起こすのは、皮膚に住む細菌群の変化

お肌の状態が、皮膚に住む細菌と密接に関連していることは、様々な研究で解明されています。では、細菌のどのよう変化が、お肌の老化をもたらすのでしょうか? 今回ご紹介する研究では、健康な日本人女性37名を、21歳~37歳の若齢者グループと、60歳~76歳の高齢者グループに分け、それぞれの、前腕、頭皮、おでこ、頬の4箇所のお肌の細菌について調べました。

その結果、若齢者グループと高齢者グループでは、

・細菌の種類の豊富さ
・特定の部位ごとによる、細菌群の構成の変化

に大きな違いが見られることが分かりました。

年齢における皮膚細菌群の違い

まず、皮膚に住む細菌の種類について、高齢者グループの皮膚で発見される細菌の種類の方が、若齢者グループの皮膚に見られるものより、大幅に多いことが発見されました。この徴候は特に、頬とおでこに顕著でした。

また、細菌群の構成の変化についても、若齢者グループと高齢者グループを比較すると、細菌の量、細菌の種類の変化の二点において違いが確認されました。

これら、年齢による細菌の変化をより深く見てみると、

・高齢者グループについて、前腕では、Propionibacterium(プロピオニバクテリウム)と呼ばれる、皮膚における細菌群の大半を構成する菌が減少し、頭皮では、本来は少数派であるはずの細菌種が増加する
・高齢者グループと若齢者グループとの間で、存在量に差が見られた細菌が38種類特定され、その中には口腔細菌が含まれている

ことが判明しました。

加齢と皮膚細菌群の変化の関連性

以上のような、年齢による皮膚細菌群の変化は、加齢に伴う皮膚の状態の変化によって起こることが分かりました。

プロピオニバクテリウムの減少は、加齢によって皮脂の分泌が減少することによって引き起こされたと考えられます。この結果、皮膚の持つ抗菌作用や免疫作用を減少させる可能性があります。

また、加齢によって、代謝や皮脂の分泌が低下し、皮膚が利用できる栄養の減少や、免疫機能の低下といった変化が起こります。その結果、若齢者グループでは皮膚そのものが増殖を防いでいた、皮膚に対して異常をもたらす可能性のある細菌が、高齢者グループの皮膚においては増殖することが確認されました。本研究で強調されている口腔細菌などがその例です。

お肌の老化=皮膚における細菌群の変化?

本研究では、

・加齢によって皮膚細菌群の多様化と変化が引き起こされること
・細菌群の中でも、口腔細菌による影響が強いこと
・これらの変化は、皮膚の生理機能(皮脂の分泌や免疫機能など)の変化と関連していること

が示されました。

つまり、お肌の老化を、年齢ではなく、皮膚細菌群の状態によって測ることができるかもしれない、ということです。もし私たちが皮膚細菌群の状態をコントロールできるようになれば、お肌の老化に対する新しいアプローチが生まれるかもしれませんね。


ライター:ヒロ
大阪、あべのハルカスのお膝元生まれの学生ライター。雪国生まれの母譲りで色白、そして同じく、母譲りの敏感肌……。
お肌の健康やトラブル、その大元の原因やメカニズムであるスキンフローラについて、しっかり&分かりやすい記事を書いていきます! 目指せ一億総美肌社会。

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